繰り上げ返済(増額返済)とは
繰り上げ返済(増額返済)とは、毎月決められた金額を返済する「約定返済」以外に、追加で返済を行うことです。臨時返済、任意返済、増額返済などと呼ばれることもあります。繰り上げ返済は期日とは関係なくいつでも可能です。
約定返済(やくじょうへんさい)とは?
毎月の約定返済日に、定められた約定返済額を返済することです。約定返済には元金の返済と利息の支払いが含まれており、約定返済額すべてが元本の返済に充てられるわけではありません。例えば約定返済額が毎月1万円の場合、内訳は元金の返済が8,500円、利息が1,500円などに分けられます。(※)
※利息は金利や元金によって異なります。
繰り上げ返済額は1,000円から受け付けている場合が多いですが、カードローン会社によって異なります。少額の繰り上げ返済をする場合は最低でいくらから指定できるのか確認しておきましょう。
繰り上げ返済額はすべて元金の返済に充てられ、利息の支払いはありません。なお、繰り上げ返済はあくまで臨時の返済で、次回の約定返済は別途必要になるため注意しましょう。
カードローンの繰り上げ返済を行うメリット
カードローンの繰り上げ返済には、2つのメリットがあります。
- 返済期間が短縮され、支払利息が減る
- 完済するまでの不安が軽減される
返済期間が短縮され、支払利息が減る
繰り上げ返済をすると、約定返済のみで返済した場合と比べて返済期間を短縮できます。

上の図は、繰り上げ返済による返済期間の変化を表したものです。約定返済では毎月定められた金額を返済し、元金が完済するまで返済期間が続きます。そのため、繰り上げ返済で元金を減らすことで、返済期間を短縮することが可能です。
さらに、約定返済で返済する予定だった利息の支払いが軽減されるため、総支払額を抑えることもできます。早く返済を終わらせたい方や利息の負担を抑えたい方は、繰り上げ返済を上手く活用しましょう。
完済するまでの不安が軽減される
カードローンの返済に心理的な負担を感じる方は、繰り上げ返済をすることで返済終了の目途が立ちやすくなり、不安が軽減される可能性があります。
毎月の返済金額を増やして完済を早めることも可能ですが、毎月の返済が厳しくなり、より心理的な負担が増えることも考えられます。任意のタイミングで返済できる繰り上げ返済なら、ボーナス後など資金に余裕があるときだけ追加で支払えるので、自分のペースで調整可能です。
繰り上げ返済で利息はどれくらい減る?シミュレーションしてみよう
実際に繰り上げ返済を行った場合、どれくらい利息や総支払額が減り、返済期間が短くなるのか、シミュレーションの一例を見てみましょう。
シミュレーション条件の一例
- 借り入れ月:2022年3月
- 借入金額:300,000円
- 年間金利:15.0%
- 毎月の返済金額:20,000円
- 返済方式:元利均等返済
- 臨時返済:2022年6月に100,000円返済
繰り上げ返済なし | 繰り上げ返済あり | |
---|---|---|
返済開始日 | 2022年4月 | 2022年4月 |
返済完了日 | 2023年8月 | 2023年3月 |
総支払額 | 333,773円 | 320,253円 |
利息分 | 33,773円 | 20,253円 |
※利息計算は各月30日分で計算しているため、実際の返済金額とは異なる場合があります。
シミュレーションの結果、繰り上げ返済を行うことで利息は13,528円減少し、返済期間は5カ月短縮されました。なお、利息は金利や返済方式などによって変化するため、自分でシミュレーションを行う際は借入条件をよく確認しましょう。
繰り上げ返済の方法
カードローンの繰り上げ返済は、一般的に以下の方法で行えます。カードローン会社によって利用できる方法が異なるため、事前に確認しておきましょう。
繰り上げ返済の方法例
- ATMでのカード返済
- 銀行振込
- 会員専用サイト・公式アプリによる手続き
- 電話による口座振替の申し込み
など
ATMでのカード返済と銀行振込による繰り上げ返済は、多くのカードローンが対応しています。ただし、ATMや銀行振込は手数料がかかる場合が多いため、利用前に確認しておきましょう。
会員専用サイトや公式アプリを利用できるカードローンでは、インターネットバンキングを利用して返済ができます。口座振替の申し込みも会員専用サイトから行える場合が多いです。
インターネット上での手続きができない場合は、電話でも口座振替の申し込みや振込用の銀行口座の確認ができます。
上手に繰り上げ返済を行うコツ
上手に繰り上げ返済を行うコツは、資金に余裕があるタイミングを見極めることです。繰り上げ返済をしたい場合は、以下のタイミングで検討してみましょう。
繰り上げ返済のコツ
- 臨時収入が入ったときに行う
- 毎月の返済額が減ったときに行う
臨時収入が入ったときに行う
ボーナスや退職金など、まとまった臨時収入が入ると家計に余裕が生まれやすくなります。今後の約定返済や生活費などを考慮して、無理のない範囲で繰り上げ返済を検討しましょう。
毎月の返済額が減ったときに行う
残りの元金に応じて約定返済額が変動する「残高スライド方式」が採用されているカードローンの場合、返済が進むにつれて毎月の返済額が減っていきます。
例えば、毎月3万円の約定返済額が2万円になった場合、1万円分の余裕が生まれます。この1万円分を毎月繰り上げ返済することで、月々の負担を変えずに元金を減らしていくことが可能です。
ただし、返済方式が残高スライド方式ではなく「定額返済方式」の場合、返済が進んでも毎月の返済額は大きく変わらないため注意しましょう。
カードローンの繰り上げ返済を行う注意点
カードローンの繰り上げ返済を行う場合、以下の点に注意が必要です。
繰り上げ返済の注意点
- 繰り上げ返済とは別に約定返済が行われる
- 無理して繰り上げ返済すると家計を圧迫する可能性がある
- 返済方法によっては手数料がかかる
繰り上げ返済とは別に約定返済を行う
繰り上げ返済をしても、毎月の約定返済は行います。無理に繰り上げ返済を行うと、約定返済のための資金がなくなってしまう可能性もあるため慎重に検討しましょう。
約定返済を滞納すると信用情報に傷がつき、新しいローンやクレジットカードを申し込む際、審査に通りにくくなる恐れがあります。さらに、約定返済が遅れると遅延損害金が発生して総支払額が多くなるため、計画的に返済していきましょう。
遅延損害金とは?
契約通りに借入金を返済できないことに対するペナルティです。返済期日以降は、利息の代わりに遅延損害金が発生します。上限利率は利息上限法により定められており、カードローンでは年率20%までです。
無理して繰り上げ返済すると家計を圧迫する可能性がある
無理な繰り上げ返済をすると、後々家計を圧迫する可能性があります。返済期間を短縮できても、急な出費や生活費の不足で追加の借り入れをしてしまったら本末転倒です。
ある程度のまとまった資金や貯金は残るようにしておき、余裕のある返済や家計管理を心がけましょう。
返済方法によっては手数料がかかる
返済方法によっては振込手数料や繰り上げ返済手数料などがかかる場合があります。毎月少しずつの繰り上げ返済を続けていると、手数料の負担が増えてしまうため注意が必要です。
カードローン会社によっては手数料がかからない返済方法もあるので、事前に把握しておくとよいでしょう。
繰り上げ返済が向いていない場合とは?
カードローンの早期返済に役立つ繰り上げ返済ですが、状況によっては行わない方がいい場合もあります。
例えば、車の購入や子どもの進学など、大きな出費が予定されているときは、貯蓄を優先する方がいいでしょう。資金が足りないと追加で借り入れをすることになるため、繰り上げ返済の意味がなくなってしまいます。また、病気や災害など緊急時用の貯蓄がない場合も、急な出費に備えて貯蓄するのがおすすめです。
繰り上げ返済はあくまで余裕のあるときに行うもので、無理にする必要はありません。約定返済のみの返済も、毎月の資金計画が立てやすいというメリットがあります。追加で借り入れをしなければ契約当初のシミュレーション通りに完済できるので、焦らず自分のペースで返済しましょう。
よくある質問
カードローンの繰り上げ返済とは何ですか?
繰り上げ返済とは、毎月決められた金額を返済する「約定返済」以外に、追加で返済することです。
繰り上げ返済はすべて元金の返済に充てられるため、効率よく返済を進められます。
カードローンの繰り上げ返済をするメリットは何ですか?
繰り上げ返済のやり方を教えてください。
一般的には、ATMでのカード返済・銀行振込・公式アプリや会員専用サイトでの手続き・電話での口座振替の申し込みなどで行えます。
繰り上げ返済のやり方はカードローン会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。