借入とは?
「借入」とは、広義ではお金や物を借りることを意味します。一般的には、個人や企業が銀行やカードローン会社などの金融機関などからお金を借りる際に使われる言葉です。
金融機関からお金を借りる際、借りる側の視点では「借入」、貸す側の視点では「貸付」または「融資」といいます。言葉は異なりますが、行動の結果は同じ状態です。借りたお金を表す「借入金」や貸したお金を表す「貸付金」も、視点の違いで名称が使い分けられています。
借入前には必ず審査が行われる
借入を申し込むと、必ず審査が行われます。審査では年収や借入状況などが確認され、充分な返済能力があるかを判断されます。審査に落ちると借入できません。
以下は審査で確認される項目の例です。
- 年収
- 世帯収入
- 勤務先
- 勤続年数
- 現在の借入状況
- 過去の借入状況
など
※会社によって異なる場合があります。
借入後は「借入金額+利息」を返済する
借入後は、返済時に利息もあわせて支払う必要があります。利息とはお金を借りることへの対価で、以下の式で計算できます。
利息=借入金額×金利×借入期間
例えば、100,000円を年間金利15%で借り入れて1年後に返済した場合、利息は15,000円です。
100,000円×15%×1年=15,000円
利息を決定する「金利」は、借入先の金融機関や金融商品、審査結果によって異なります。
担保が必要なローンがある
金融機関で借り入れる際に、担保を求められることがあります。この場合の担保とは、万が一借入金を返済できなかったときに返済に充てられるものです。返済ができなくなったとき、担保を銀行などの債権者が換金し、借入金の返済に充当します。担保が必要な借入を「有担保ローン」、不要なものを「無担保ローン」と呼びます。有担保ローンに該当するものは、住宅ローンや不動産担保ローンなどです。無担保ローンには、カードローンやクレジットカードのキャッシングなどがあります。
個人で借入をする4つの方法
個人が利用できる借入手段は、大きく分けて4種類あります。それぞれ特徴や適した用途が異なるので、事前に確認して自分にあう借入手段を選びましょう。
借入手段 | 適した用途・ケース |
---|---|
カードローン | 娯楽費や生活費などを長期的に借りる場合 |
銀行の目的別ローン | 住宅や自動車などの購入費用 |
クレジットカードのキャッシング | 娯楽費や生活費などを短期的に借りる場合 |
公的機関 | 困窮した場合の生活費や事業の支援金 |
カードローン
金利の相場 | 3%〜18% |
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借入できる金額の範囲 | 1万円〜800万円程度 |
借入までにかかる時間 | 最短当日〜1週間程度 |
借入方法 | ATM、口座振込、WEBサービスなど |
カードローンとは、銀行や消費者金融などが提供している個人向け融資です。使用目的を問わず、担保・保証人なしで契約できます。最短当日に借入できるカードローンもあるので、すぐにお金が必要なときに便利です。
一般的には申し込み後にカードを発行し、ATMなどで現金を借入します。多くのカードローンではWEBサービスを利用して、指定の銀行口座への振り込みによる借入も可能です。なかにはカードを発行せず、スマートフォンのアプリやWEBサービスで申し込みから借入・返済までを完結できるカードローンもあります。
定められた借入可能額内であれば、カードローンの借入はいつでも可能です。返済については約定日の引き落とし以外に随時返済できるカードローンも多く、状況にあわせて利用できます。
カードローンは大きく分けて、消費者金融・信販会社と銀行に分けられます。それぞれの特徴も確認しておきましょう。
消費者金融・信販会社のカードローン
消費者金融や信販会社は審査期間が短い傾向があり、最短当日に融資可能な場合もあります。ただし、銀行と比べて金利は高めです。
消費者金融・信販会社のカードローンは貸金業者に分類されるため、「貸金業法」が適用されます。貸金業法は多重債務などの無理な借入を防ぐために作られた法律です。貸金業法の中でも重要なのが年収の3分の1を超える貸し付けを禁止する「総量規制」です。総量規制はすべての貸金業者からの借入総額が対象となり(※)、複数社から借入をしようとしても総量規制以上の金額を借りられないため注意しましょう。
※貸金業者各社において借入総額を計算する場合、自社分は「利用限度額」、他社分は「貸付残高」として算出します。」
銀行カードローン
銀行が提供しているカードローンは、メガバンクや地方銀行が扱っています。審査に数日から1週間ほど時間がかかる場合がありますが、消費者金融や信販会社と比べて比較的金利は低めに設定されています。
銀行の業務は「銀行法」に則り行われ、貸金業法は適用されません。総量規制も対象外ですが、返済が困難になるほどの貸し付けにならないよう、独自の貸付基準を設けている場合があります。銀行カードローンのほうが多く借入できるとは限らないため、注意しましょう。
カードローンがおすすめの方
- できるだけ早く借入したい方
- 1万円など、少額の借入をしたい方
- 無担保・保証人なしで借入したい方
- 状況にあわせて借入・返済を行いたい方
カードローンは借入可能額内なら自由に借入ができることや、少額から借入できることから、日常生活の出費に対する借入に適しています。
銀行の目的別ローン
金利の相場 | 1.5%~6% |
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借入できる金額の範囲 | 資金用途・年収により異なる |
借入までにかかる時間 | 2週間~1カ月程度 |
借入方法 | 口座振込 |
銀行では、借入目的が決められたローンを組めます。以下は銀行が提供する目的別ローンの例です。
銀行が提供する目的別ローン例
- マイカーローン
- 教育ローン
- ビジネスローン
など
※会社によって異なる場合があります。
銀行の目的別ローンは、カードローンのように「最高800万円まで」などの借入可能枠は設定されていない場合が多く、あらかじめ使い道が決まっている融資方法です。審査は、年収や個人の信用情報などを確認します。1回の借入ごとに契約書を発行する「証書貸付」という契約方法となるため、同契約上で追加の融資は受けられません。
比較的金利が低く、ローンの種類によっては1,000万円を超える多額の融資を受けられる点がメリットです。ただし、融資金の使い道があらかじめ決まっているため、借り入れたあとで、自由に使い道を選択できない点はデメリットになることもあるでしょう。
銀行が提供するローンには資金使途を限定しないフリーローンがありますが、目的別ローンと比べると金利が高めです。一見カードローンと同じように感じますが、フリーローンも証書貸付となり、追加の借入はできない場合が多いため注意しましょう。
銀行の目的別ローンがおすすめの方
- 借入の目的が決まっている方
- カードローンでは借りられない大きな金額を借りたい方
- 金利を低くしたい方
銀行の目的別ローンは、借入の目的が明確で、多額のお金が必要なときにおすすめです。ただし、多額の金額を借り入れるためには、審査は厳しくなります。借入には相応の収入や信用情報が必要となることを留意しておきましょう。
クレジットカードのキャッシング
金利の相場 | 15%~18% |
---|---|
借入できる金額の範囲 | 1万円~500万円程度 |
借入までにかかる時間 | 最短当日〜2週間程度 |
借入方法 | ATM、口座振込 |
※会社によって異なる場合があります。
クレジットカードのキャッシングとは、クレジットカードを利用して現金の借入をすることです。キャッシングを利用するには「キャッシング枠」を設定する必要があります。キャッシング枠はクレジットカードの利用可能枠内でキャッシングに利用できる金額を設定するもので、申し込みにより付帯できます。
すでに手持ちのクレジットカードにキャッシング枠が付帯している場合は、ATMでの現金の引き出しや銀行口座への振り込みによる借入が可能です。借入はカードローンと同じように、利用可能額内であれば自由に行えます。
新たにキャッシング枠をつける場合には審査が必要となり、借入まで時間がかかる場合があります。審査が早く完了すると当日中に借入ができるケースもありますが、長引くと1週間ほどかかる場合もあるでしょう。クレジットカードの新規発行から申し込むと、2週間ほどかかるケースもあります。
キャッシングがおすすめの方
- クレジットカードを持っていて、とにかく早く現金を借入したい方
- 無担保・保証人なしで借入したい方
- 1万円など、少額の借入をしたい方
- 短期の借入を検討している方
クレジットカードのキャッシングは、カードローンによる借入と特徴が似ていますが、借入できる早さと金利、借入できる金額が異なります。
キャッシング枠が付帯しているクレジットカードを持っている場合は、カードローンよりキャッシングのほうが早く現金を借入できる可能性があります。
ただし、金利はキャッシングのほうが高い傾向があるため、長期の借入は不向きです。また、クレジットカードの最高借入可能額はカードローンより低めで、高額の借入にも適していません。クレジットカードのキャッシングは、短期間だけ少額を借りたいという方に適した借入方法です。
公的機関
金利の相場 | 0%~3% |
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借入できる金額の範囲 | 制度などにより異なる |
借入までにかかる時間 | 制度などにより異なる |
借入方法 | 口座振込、直接貸付 |
※機関によって異なる場合があります。
公的融資制度を活用することで、公的機関でも借入が可能です。民間企業よりも低金利となる場合が多く、場合によっては無利子で借入できるケースもあります。
公的融資制度には、個人を助けるためのものや、中小事業者や農林水産事業を支援するものなど、さまざまな制度があります。以下は、公的融資制度の例です。
公的融資制度の例
- 生活福祉資金貸付制度
- 教育一般貸付
- セーフティネット貸付
など
公的機関からの借入には、一定の申込条件を満たして審査に通過しなければいけません。借入までにかかる時間は制度により異なり、1週間ほどで振り込まれるものもあれば、2カ月以上かかる場合もあります。申し込む際は、いつ借入金を受け取れるか確認しておきましょう。
公的機関からの借入がおすすめの方
- 貸付の条件に当てはまる方
- 金利を低くしたい方
公的機関からの借入は、金利の低さが大きな魅力です。収入が低い方でも借入できる場合があるため、生活に困っている方は申し込みを検討してみましょう。
借入するときの注意点
借入するときには、以下の点に注意が必要です。スムーズに借入するために、申し込み前に確認しておきましょう。
借入の注意点
- 借入するには貸付条件を満たす必要がある
- 人によって借入可能額が異なる
借入するには貸付条件を満たす必要がある
「貸付条件」とは、借入を申し込む際に最低限満たす必要がある条件です。各金融機関や金融商品によって貸付条件は異なるため、事前に確認しておきましょう。
ローンの種類によっても条件は異なるので注意しましょう。例えば、一般的なカードローンでは「学生ではない18歳以上の方」「毎月定期収入がある方」などの貸付条件があります。住宅ローンでは一般的な貸付条件に加えて、「返済が終了するまで融資住宅に住むこと」「申込日時点で一定以上の財形貯蓄があること」などが設定されている場合もあります。
人によって借入可能額が異なる
借入可能額とは、個人が借入できる最高の金額のことです。各金融商品で定められた上限金額を限度に、申込者ごとに借入可能な金額が設定されます。借入可能額は審査によって無理なく返済できると考えられる金額を設定されるため、金融商品の上限金額いっぱいまで借りられるとは限りません。
「消費者金融・信販会社のカードローン」で解説した総量規制により、貸金業者からは年収の3分の1を超える借入はできません。銀行のカードローンは総量規制の対象にはなりませんが、借入可能額は各銀行によって定められた基準によって決定するため、貸金業者との大きな差はないことが多いでしょう。
安心して借入するためのポイント
カードローンなどを初めて申し込む方に向けて、安心して借入するためのポイントをご紹介します。申し込み前に以下2つのポイントをチェックしておきましょう。
借入のポイント
- 返済方式を把握する
- 返済シミュレーションを活用する
返済方法を把握する
返済方法は申し込む金融商品によって異なるため確認しておきましょう。事前に返済方法や約定日を知っておくことで、当日に慌てることなく確実に返済できます。
カードローンを例に挙げると、一般的にはリボルビング払いによって毎月元金の一部と利息を支払います。返済方法は口座からの引き落としやATM利用がありますが、金融商品により異なるため確認しておきましょう。
返済の約定日や毎月の返済金額を変更できる金融商品は、給料日や出費にあわせて調整できるため便利です。また、随時繰上げ返済が可能なものもあります。お金に余裕があれば早めに返済することで、利息の負担を減らすことも可能です。
返済シミュレーションを活用する
申し込み前に、返済シミュレーションで返済計画を立てておきましょう。返済シミュレーションでは、金利や借入金額を入力することで、毎月の返済金額や総支払金額、返済期間などを確認できます。返済計画を事前に立てておけば、返済不能となる心配も少なくなるでしょう。なお、具体的な金利は審査により決定されます。申込前に返済シミュレーションを利用する場合は、公開されている最高金利で計算して参考にするとよいでしょう。
返済シミュレーションは各金融機関の公式サイトで公開されています。
まとめ
当記事では、借入について詳しく解説しました。個人で借入をする方法は大きく分けて4つあり、それぞれ特徴が異なります。日常の出費に対する借入には「カードローン」と「クレジットカードのキャッシング」がおすすめです。少額からの借入が可能で、借入・返済の自由度も高く使いやすいので、ぜひ検討してみてください。
よくある質問
個人で利用できる借入にはどのようなものがありますか?
いくらまで借入できますか?
各金融商品で定められた上限金額の範囲内で、申込者の審査内容によって借入可能な金額が設定されます。「ご利用可能枠:最高800万円」などの表記があっても、必ずしも最高の金額まで借りられるとは限らないため注意しましょう。
即日で借入できる金融商品はありますか?
即日で借入できるかは、金融商品や申込方法、申し込む時間帯などによって異なります。各金融機関の公式サイトで確認しておきましょう。