家計においてバランスシートを作る最大の目的は、「家計の資産と負債の状況を正確に把握して、そのバランスをチェックすること」です。普通預金や定期預金などプラスの財産だけを持っているのであれば、家計簿などで、年間の収支を把握するだけでも構いません。しかし、住宅ローンや自動車ローン、教育ローンといったマイナスの財産がある場合、年間の収支をチェックするだけでは、財産の全体像が見えてきません。
そこで、バランスシートを作ることによって、家計全体の資産と負債の状況が把握でき、問題点に気付けるのです。
バランスシートの図り方
では、バランスシートを作ってみましょう。
まず、今の時点で考えられるあらゆる資産と負債を洗い出して、バランスシートの左側の【資産】に預貯金などの資産と、その残高を書き込みます。次に、右側の【負債】に住宅ローンなどの負債と、その残高を書き込みます。そして【純資産】には、総資産から負債の合計を控除した金額を書き込みます。
それでは、Aさんのケースで見ていきましょう。
【図1】Aさんのバランスシート
(2009年8月31日時点 単位:万円)
【資産】流動資産
固定資産
| 【負債】
負債の合計 4,500 ![]() |
【純資産】
1,440 | |
総資産 5,940 ![]() | 合計 5,940 |
図るうえでの注意点
注意すべき点は2つ、まず
「総資産 > 負債の合計
」
となっていること。もし、
「負債の合計 > 総資産
」
になっていると、たとえ家計収支に問題がない場合でも、プラスの財産をすべて清算しても負債が残ることになるので、家計は厳しい状況にあるといえます。
もう1つは、「総資産の金額が大きい」ことではなく、「純資産の割合が大きい」こと。
Aさんの例でいうと、総資産に占める純資産の割合は、約25%弱しかありません。
総資産に比べて純資産が小さいと、収入が安定しているうちは問題ありませんが、収入が減少すると、たちまち家計は厳しくなります。
さて、Aさんのバランスシートですが、投資信託や外貨、自宅は、購入したときの金額を記載しています。しかし、自宅の価格、投資信託や外貨の価格は変動するので、資産全体の評価額も当然変動します。
したがって、資産と負債のバランスを常に正確に把握するためには、バランスシートを「そのときの価値」で作成することが重要です。
では、Aさんのバランスシートを「そのときの価値」で作ると、どうなるのでしょうか?
続きは次回で…