おまとめローンとは複数の借り入れを1本にまとめられるローン
おまとめローンは、カードローンやクレジットカードのキャッシングなど、複数社からの借り入れを1社にまとめることができる商品のことです。借入先を1つにまとめることで、 金利や月々の返済額、支払総額を抑えやすくなります。

例えば以下のように、A社・B社・C社3つの金融機関から借り入れていた場合に1つの借入先にまとめると、金利を抑えて支払総額を減らせる可能性があります。

※図は一例です。
おまとめローンは、すべての借り入れが対象になるとは限りません。一般的におまとめローンの対象となるもの・対象外のものは、以下のとおりです。
おまとめローンの対象 |
|
---|---|
おまとめローンの対象外 |
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「銀行からの借り入れをおまとめローンの対象にしているか」は、金融機関によって異なります。一部の貸金業者のおまとめローンでは、銀行カードローンなどをおまとめローンの対象にしていない場合があるため、申し込む前に確認することが大切です。
おまとめローンを利用するメリット

おまとめローンを利用すると、さまざまなメリットがあります。ここでは、3つのメリットを紹介します。
適用金利を下げられる可能性がある
おまとめローンを利用すると、適用金利を下げられる可能性があります。
借入時の金利は、利息制限法で上限が年15%~20%と決められています。元本の金額ごとの上限金利は以下のとおりです。借入金額が増えると金利の上限が下がるしくみです。
元本 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20.0% |
10万円~100万円未満 | 年18.0% |
100万円以上 | 年15.0% |
1社で借り入れた場合、複数の金融機関から借り入れるときよりも適用金利が下げられる可能性があります。

複数の金融機関から借りている方は、おまとめローンを利用して現在契約しているところよりも金利が低いところを選ぶことで、 支払総額を減らせる可能性があります。
返済管理がしやすくなる
おまとめローンを利用すると、複数社からの借り入れが1つになって返済を管理しやすくなります。
例えば複数の金融機関から借りていて、「A社は毎月10日、B社は毎月26日」といったように返済日が複数ある場合、返済を忘れてしまうことがあるかもしれません。返済が延滞すると、信用情報に傷が付く原因にもなります。
おまとめローンを利用すると返済日を毎月1回にでき、返済スケジュールを管理しやすくなります。複数の金融機関から借りているために返済日を把握できておらず、返済を延滞するといったリスクを減らせるでしょう。
月々の返済額を減らせる可能性がある
おまとめローンで借り入れをまとめることで、月々の返済額を減らせる場合があります。もし月々の返済額が高くて困っている場合は、おまとめをすることで負担を減らせるかもしれません。
月々の約定返済は、「借入残高が50万円以下であれば、月々の返済額が10,000円」といったように借入残高によって決まっています。次の表のように借入残高が増えるほど、月々の返済額が高くなるのが一般的です。
借入金額 | 月々の返済額 |
---|---|
10万円以内 | 4,000円 |
10万円超~20万円以内 | 8,000円 |
20万円超~40万円以内 | 11,000円 |
40万円超~50万円以内 | 13,000円 |
50万円超~60万円以内 | 15,000円 |
60万円超~70万円以内 | 17,000円 |
70万円超~80万円以内 | 20,000円 |
80万円超~90万円以内 | 22,000円 |
90万円超~100万円以内 | 24,000円 |
例えば、A社で20万円、B社で30万円、C社で50万円、合計100万円の借入残高があるとします。
借入金額 | 返済額 | |
---|---|---|
A社 | 20万円 | 8,000円 |
B社 | 30万円 | 11,000円 |
C社 | 50万円 | 13,000円 |
合計 | 100万円 | 32,000円 |
この場合、借入先が3箇所に分かれているため、各社の月々の返済額の合計32,000円を支払わなければなりません。
しかし、 D社におまとめして100万円の借入残高にすると、月々の返済額は24,000円となり、8,000円減らすことが可能です。
借入金額 | 返済額 | |
---|---|---|
D社 | 100万円 | 24,000円 |
月々の返済額が高いと感じる方は、おまとめをして月々の返済額を減らせないか検討するのがおすすめです。
ただし、 月々の返済額が減ると返済期間が延びて支払総額が増える可能性があるため注意しましょう。
おまとめローンで返済額はいくら減る?シミュレーションしよう
おまとめローンを利用することでどれくらい返済額を減らせるか、シミュレーションしてみましょう。
例えばA社から10万円(金利15.00%)、B社から20万円(金利15.00%)、C社から20万円(金利18.00%)で借り入れて36カ月で返済する場合、おまとめ実施前後の支払総額は以下のようになります。
借入金額 | 金利 | 返済期間 | 利息総額 | 支払総額 | |
---|---|---|---|---|---|
A社 | 10万円 | 15.00% | 36カ月 | 24,776円 | 124,776円 |
B社 | 20万円 | 15.00% | 36カ月 | 49,588円 | 249,588円 |
C社 | 20万円 | 18.00% | 36カ月 | 60,280円 | 260,280円 |
合計 | 50万円 | - | - | 134,644円 | 634,644円 |
借入金額 | 金利 | 返済期間 | 利息総額 | 支払総額 | |
---|---|---|---|---|---|
D社 | 50万円 | 15.00% | 36カ月 | 123,952円 | 623,952円 |
※シミュレーション結果は、返済方式によって数値が異なる場合があります。
おまとめローン実施前は、3社の支払総額を合計すると約63万円でしたが、おまとめローン実施後は約62万円と1万円抑えられていることがわかります。
おまとめローンのデメリット・注意点
ここでは、おまとめローンを利用したときのデメリットや注意点を説明します。

審査に通過しなければ借り入れできない
おまとめローンを利用するにあたっては、必ず審査が実施されます。審査に通過しなければ、借り入れはできません。審査では 「金融機関が設定した申込条件を満たしているか」「個人の返済能力はあるか」を確認され、融資の可否判断や借入可能額の設定が行われます。
申込者の他社借入の履歴や年収によってはそもそも借り入れできなかったり、希望額より低い金額しか借りられなかったりすることもあります。
審査の基準は公開されていないため、希望通りの融資を受けられなかったとしてもその原因は確認できません。一般的におまとめローンで審査落ちになりやすい人の特徴には、以下のようなものがあります。
■おまとめローンで審査落ちになりやすい人
- 借入件数が多い
- 他社での返済を延滞している
- 収入や雇用が不安定である など
返済専用のおまとめローンではなくカードローンをおまとめローンとして利用する場合は、総量規制の対象となる場合があります。総量規制とは、金融機関に対して契約者の年収の3分の1を超える貸し付けを原則禁止する規制のことです。消費者の借り過ぎや、金融機関の貸し過ぎを防ぐために設けられています。
総量規制の対象になる場合、契約者の年収の3分の1を超えた貸し付けができません。そのため希望額と現在の借入残高が年収の3分の1を超える場合は、審査に落ちる可能性が高くなります。

返済専用のおまとめローンは消費者に一方的に有利になる借り換え・借入残高を段階的に減少させるための借り換えであるため、一般的に総量規制の対象にはなりません。
必ずしも適用金利が下がるとは限らない
おまとめローンを利用すると適用金利を下げられる可能性があるというメリットがありますが、必ずしも適用金利が下がるとは限りません。 借入履歴や利用する金融機関によっては、おまとめローンでまとめたとしても金利が下がらない場合もあります。
金利が低くならなければ、結局返済の負担が変わらないためおまとめローンにする意味がありません。今契約している各借入先の適用金利とおまとめローンを契約したい借入先の金利を比べて、「本当に今より負担が少なくなるのか」を事前に確認しましょう。
返済専用のおまとめローンの場合は追加借入ができない
おまとめローンが返済専用で追加借入に対応していない場合は、追加で借り入れることができません。一方で、 使い道が限定されていないカードローンは、借入可能額内であれば追加で借り入れができます。おまとめローンではなく、カードローンで複数社の借り入れをまとめることも可能ですので、追加借入が発生する可能性がある場合は、カードローンの契約を検討してみてください。
返済期間が延びて利息が増える可能性がある
おまとめローンを利用すると、返済期間が延びた場合、支払う利息が増える可能性があります。おまとめローンで低い金利が適用されたとしても、月々の返済額が少なく 返済期間が長期化すると、支払う利息が増えるためです。
おまとめローンを利用する際は月々の返済額だけでなく、返済期間や支払総額も確認することが大切です。現在の複数の借入先がある場合と比較して、月々の返済額や支払総額が増えるのか減るのかを確認しましょう。月々の返済額や返済期間によっては、おまとめローンを利用する前後で「支払総額が変わらない」「支払総額が増える」という可能性もあります。
おまとめローンの申し込み・借り入れ・返済までの流れ
おまとめローンの申し込みから借り入れまでの流れは、以下のとおりです。

おまとめローンに申し込むと、申込先の金融機関にて審査が行われます。審査通過後から、おまとめローンの利用が可能です。審査の際は、電話による在籍確認が行われる可能性もあります。審査の詳細は 「おまとめローンの審査基準」を確認してみてください。
申し込みの際に必要書類を提出する
おまとめローンに申し込む際に必要な書類には、以下のようなものがあります。
本人確認書類 | 申込者が本人であることを証明できる公的書類 例: 運転免許証 マイナンバーカード 健康保険証 住民票 在留カード・特別永住者証明書 など |
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収入証明書類 | 申込者の収入を確認する書類 例: 源泉徴収票 給与明細書・賞与明細書 など |
金融機関によって必要書類が異なる場合があるため、借入先のWEBサイトで事前に確認しましょう。
借入先が返済する場合と自分で返済する場合がある
おまとめローンの入会手続き完了後は金融機関によって、自動的に他社に返済される場合もあれば、自分で返済する場合もあります。
自分で返済する場合は、入会手続きを終えると、他社に返済するための金額が指定の口座に振り込まれます。振り込まれたお金で、他社借入を自分ですべて一括返済する流れです。 一括返済後は、決まった金額をおまとめローンの借入先に返済していきます。
おまとめローンの審査基準
おまとめローンの審査基準は、公開されていません。ここでは、一般的におまとめローンの審査でチェックされる2つの項目を説明します。

信用情報:契約内容や返済延滞履歴などの金融取引情報
信用情報は、消費者と金融機関の健全な信用取引を支えるために、加盟する金融機関から登録されるクレジットやローンに関する信用情報を扱う機関です。信用情報には、以下のようなものがあります。
信用情報
- 他社での契約履歴
- 過去の借入履歴
- 申込履歴
- 返済の延滞履歴 など
信用情報は信用情報機関に登録されており、金融機関は審査の申し込みをする際に確認します。金融機関は、借入希望者の同意を得たうえで信用情報機関に問い合わせ、信用情報を把握することが可能です。 「他社の借り入れがいくらあるか」「延滞履歴はないか」など信用情報機関を通して確認し、融資できるかを判断します。
属性情報:自分の勤務先・勤続年数・年収など
属性情報とは、勤務先や家族情報などの申込者本人や家族に関する情報のことです。属性情報には、以下のようなものがあります。
属性情報
- 年齢
- 家族構成
- 家族と同居しているか
- 勤務形態
- 年収
- 勤務先
- 勤続年数 など
勤務形態は非正規雇用のパートやアルバイト、収入がない専業主婦(主夫)である場合、 返済能力に不安があるとされ、審査に通らないことがあります。専業主婦(主夫)を対象にしていないローンもあるため、申し込みの際は申込対象者を確認しましょう。
おまとめローンの審査に通過するためのポイント
おまとめローンの審査基準は公開されていないため、絶対に通過できる方法はありません。ここでは、審査通過のためにできることを説明します。
- 申込時に正しい情報を記入する
- 短期間で複数のローンに申し込まない
- 使用していないカードローンやクレジットカードを解約する
申込時に正しい情報を記入する
金融機関によって異なりますが、申込時は勤務先や勤続年数、年収、他社借入などを記入します。
おまとめローンの審査では信用情報を照会するため、たとえ事実と異なる記入をしても金融機関側は確認できます。 申込情報が事実と異なっていると信用性を疑われ、審査に通りづらくなる可能性があるため、申込時は正確な情報を記入しましょう。
短期間で複数のローンに申し込まない
過去のローンの申込履歴は、信用情報機関に登録されています。金融機関は審査時に信用情報機関に問い合わせることで、他社のおまとめローンやカードローンの申込情報も確認可能です。
同時に複数社への申し込みや、短期間で繰り返し申し込みを行うと「資金繰りに苦労している」と返済能力が疑われてしまい、審査に通らない可能性があります。
借り入れを申し込む場合は一度に複数に申し込まず、「金融機関を1社に絞る」「申し込みの間隔をあけて複数社に申し込む」など工夫するとよいでしょう。
使用していないカードローンやクレジットカードを解約する
カードローンやキャッシング枠のついたクレジットカードを保持している場合は、解約するのも効果的な手段です。カードローンやキャッシング枠のついたクレジットカードを保持しているということは、 「キャッシング枠内でいつでも借りられる状態」と判断される可能性があるためです。
使用していないカードローンやクレジットカードは、解約できないかを検討してからおまとめローンに申し込みましょう。
借入件数を減らす
既に複数社から借り入れている場合は、可能なものから 繰り上げ返済や一括返済をするとよいでしょう。借入件数を減らしてからおまとめローンに申し込むのがおすすめです。
借入件数は審査で見られるポイントのひとつです。件数が多い場合、審査にて返済能力を疑われる可能性があります。
完済歴は信用情報にも登録されるため、返済能力があることを示すための判断材料となります。無理に返済し再度借り入れしてしまうと返済した意味がないため、無理のない範囲で計画的に返済しましょう。
一括返済や繰り上げ返済が難しい場合は、まずは月々の約定返済に注力して、1社でも完済できたタイミングでおまとめローンに申し込むのも効果的です。
返済や支払いを延滞しない
信用情報を傷つけないためにも、ローンやクレジットの返済・支払いを延滞しないように注意しましょう。 信用情報には他社での借入金額や過去の借入状況、返済の延滞履歴などが保有されており、審査の際に確認 されます。
審査の結果でカードローンなどの返済の延滞がなければ、おまとめローンでも返済してくれる可能性が高いと認識し、審査に通過しやすくなると考えられます。ローンやクレジットカードだけではなく、月々のスマホ代や家賃などの支払いも延滞しないようにしましょう。
すでに延滞した経験がある場合は、 信用情報から消えてからの申し込むのがおすすめです。契約内容や返済履歴などの信用情報が保有される期間は、「契約期間中」および「契約終了後5年以内」と定められています。延滞した契約が終了して5年後に申し込むと、延滞履歴が原因で審査を落とされる可能性が低くなります。
おまとめローンの選び方
おまとめローンはさまざまな金融機関で扱われているため、「何を基準に選ぶべきか」と悩む方もいるかもしれません。ここでは、おまとめローンの選び方のポイントを3つ説明します。
支払総額が減るか
おまとめローンを選ぶときは、支払総額を減らせるか確認しましょう。 「今より金利を下げられるか」「月々の返済額を減らせるか」の場合であっても支払総額を減らせない可能性もあります。
申し込む前にシミュレーションをして、実際に支払総額を減らせるかを確認してみてください。
おまとめしたいローンが対象であるか
おまとめローンを検討する場合は、「まとめたい借り入れが対象に含まれているか」を確認しましょう。おまとめローンのWEBサイトで、「おまとめの対象」「借換対象」などの欄をチェックしてみてください。
例えば、クレジットカードのショッピング、銀行のカードローンはおまとめの対象外となる可能性があります。まとめたい借り入れをおまとめできない場合は、ほかの金融機関のおまとめローンを検討しましょう。
追加借入の可能性はあるか
返済専用のおまとめローンである場合、追加の借り入れが必要となった場合に利用できないというデメリットがあります。一方で、 カードローンは使い道が限定されていないため借入可能額内であれば追加で借り入れができます。
追加借入が発生する可能性がある場合は、おまとめローンではなくカードローンで複数社の借り入れをまとめることを検討してみてください。
新たな口座開設は不要か
銀行のおまとめローンの場合、提供する金融機関の口座の開設が必要となるケースがあります。
今持っている口座を利用できれば、口座開設に伴う手間と時間がかかりません。おまとめローン利用までの手間と時間を短縮したい方は、新たな口座開設が不要なおまとめローンを検討するとよいでしょう。
口座開設のほかにも「パートやアルバイトは対象外」「年収〇〇万円以上」といった利用条件が設定されている可能性があります。申し込む前に利用条件を確認しましょう。
よくある質問
おまとめローンとは何ですか?
おまとめローンと借り換えローンの違いを教えてください
審査の通りやすいおまとめローンはありますか?
おまとめローンを利用するとクレジットカードは使えなくなりますか?
解約したクレジットカードを公共料金などの支払いに利用している場合は注意が必要です。おまとめローンを申し込む前にクレジットカードの利用について確認しておきましょう。