デンタルローンとは:歯科治療費の支払い目的で使用するローン
デンタルローンとは、歯科治療費の支払いに目的が限定されたローンのことです。
通常の歯科治療は保険が適用されますが、歯列矯正やインプラント、ホワイトニングなどは保険適用外の場合もあり、高額な費用がかかります。デンタルローンを利用すると複数回に分けて無理なく支払いができ、治療を受けられます。

デンタルローンには、「歯科医院を通じて契約する場合」と「金融機関と直接契約する場合」の2パターンがあります。
歯科医院を通じてローンを契約する場合は発生した歯科治療費を金融機関が立て替え、利用者がその金融機関に分割で支払う仕組みです。
一方、金融機関でローンを直接契約する場合は、利用者が金融機関と融資の契約を行い、歯科医院に治療費を支払います。
利用前に知っておきたいデンタルローンの基本情報
デンタルローンを利用する前に、利用条件や金利を確認しておきましょう。ここでは、デンタルローンを利用するにあたって知っておきたい基本情報を説明します。
デンタルローンの申込方法
デンタルローンを申し込むには、以下の2とおりがあります。
デンタルローンの申込方法
- 歯科医院を通じて行う
- 銀行や貸金業者などの金融機関に直接行う
歯科医院を通じて申し込みを行う場合は、歯科医院の提携している金融機関のデンタルローンを利用することになります。また、自分で金融機関に直接申し込みすることも可能です。申込先によって利用条件や金利が異なるため、自分に合ったデンタルローンを探すとよいでしょう。
デンタルローンの利用条件・対象者
デンタルローンは誰でも申し込みできるわけではなく、利用条件や申込対象者が定められています。詳細はデンタルローンの種類によって異なりますが、一般的には「申込時の年齢が満20歳以上60歳未満」などの年齢制限と、「安定・継続した収入の見込める方」という収入に関する条件が決められています。
学生や主婦(主夫)でも、パートやアルバイトで働いていて「安定かつ継続収入がある人」という条件を満たしていれば、申し込みができる場合があります。また、年齢などの利用条件はローンによって異なるため、申し込む前に確認してみましょう。
デンタルローンは居住地域によって申し込める金融機関が異なることがあります。例えば地方銀行の場合、居住地または勤務地が指定地域でなければ利用できないケースもあるため、利用条件や対象者を確認してみてください。
デンタルローンの金利と利息
金利とは、借入金額に対する利息(手数料)の割合のことです。金利が低くなるほど利息の負担が少なくなるため、できるだけ金利の低いローンを選ぶのがよいでしょう。デンタルローンの金利は種類によって異なりますが、年3.0~15%ほどであることが一般的です。
金利は一般的に「〇~〇%」と幅がありますが、下限の金利で借り入れられるとは限りません。実際の金利は、審査結果が出るまでわからないため、審査の前に「自分の借入額の場合だと、どれくらいの金利になるのか」を確認しておくとよいでしょう。
デンタルローンで借り入れできる金額
デンタルローンで借り入れできる最高金額は、金融機関やローンの種類によって異なりますが、数十万~数百万円であることが一般的です。申し込むデンタルローンのWEBサイトで借り入れられる金額を確認してみましょう。
WEBサイトに記載されている金額はあくまで最高の借入金額であり、その金額以内なら必ず借りられるとは限りません。申込後に行われる審査で収入や信用情報、借入希望額(治療にかかる費用)などを確認され、適切な金額が設定されます。
デンタルローンの返済方法と返済期間
デンタルローンは、決められた金額を毎月の返済日に少しずつ返済する仕組みです。返済は借り入れを完済するまで続きます。少額の場合は基本的に数カ月で完済できますが、借入金額が高額の場合は数年~十数年かかる場合もあるでしょう。
返済期間や返済方法も金融機関によって異なります。一般的には数カ月から数年間の返済期間が設定されます。
デンタルローンの申し込みから融資までの流れ
デンタルローンの申込方法は、金融機関によって異なります。ここでは、申し込みから融資までの流れの例を説明します。

デンタルローンは、インターネットで申し込める場合も多くあります。インターネットまたは店舗で直接申し込みを行い、仮審査に通過すると本審査の案内が送られてきます。
本審査に通過すると契約手続きに進み、融資を受けられるという流れです。融資先によっては、仮審査がない場合もあります。仮審査がない場合は、申込後に本審査が行われます。
融資を受けたら、毎月の返済日までに決まった金額を返済していきます。借り入れをすべて返済し終えたら完済です。
デンタルローンの審査内容
デンタルローンに限らず、すべてのローン商品の申し込みの際には審査が実施されます。審査の基準は公開されていませんが、「十分な返済能力があるか」「過去に支払いや返済でトラブルがないか」などをチェックされると考えられています。
デンタルローンの審査で確認される内容例は、以下のとおりです。
審査で確認される内容例
- 収入
- 勤務先
- 雇用形態
- 借入・返済履歴
- 家族構成
申し込みの手続きなどで自分の情報を記入する際は、誤りがないように確認しましょう。
デンタルローンを利用するメリット
デンタルローンを利用すると、以下のようなメリットがあります。
デンタルローンを利用するメリット
- 高額な一括払いをすることなく治療が始められる
- 歯科医院で手続きできる場合がある
高額な一括払いをすることなく治療が始められる
歯の治療をしたいと思うものの、保険適用外の場合は金額が高額なため「支払えない」と治療を断念するケースも少なくありません。病院や治療内容によって異なりますが、治療にかかる費用の目安は以下のとおりです。
治療内容 | 費用の目安 |
---|---|
歯列矯正 | 20万~100万円 |
インプラント | 30万~50万円 |
セラミック | 5万~20万円 |
ホワイトニング | 2万~3万円 |
デンタルローンを利用すると、上記のような高額な費用を一括で支払う必要がありません。分割して支払えるため、申込時点でまとまったお金がなくても治療が可能です。
治療によっては数カ月~数年かかる場合もあります。デンタルローンを利用すれば、資金が貯まるのを待たずに治療を早く始められるというメリットがあります。
歯科医院で手続きできる場合がある
金融機関によっては歯科医院が窓口となって手続きができるため、簡便に進められる場合があります。
もしデンタルローンの利用を検討している場合は、手続きが歯科医院を通じて行えるか確認しておきましょう。
デンタルローンを利用するデメリット
デンタルローンを利用したときのデメリットには、以下のようなものがあります。
デンタルローンを利用するデメリット
- 審査に通過しないと利用できない
- 返済が長引くほど、利息の負担が増える
審査に通過しないと利用できない
デンタルローンは、審査に通過しなければ融資を受けられません。自身の信用情報や収入、返済能力によっては、借り入れできない、あるいは借入希望額より少ない金額しか借りられない場合があります。
審査の基準は公開されておらず、審査に通過できなかったとしても理由は伝えられません。一般的には、「十分な返済能力があるか」「過去に支払いや返済でトラブルがないか」といった観点でチェックされると考えられています。
そのため、過去にクレジットカードの支払いや他社ローンの返済で延滞した経験がある場合、審査に通らない可能性があります。
返済が長引くほど、利息の負担が増える
デンタルローンはあくまで借り入れであるため、借入金額に対して利息(手数料)が発生し、完済までは毎月の返済が求められます。
申込時点で適用された金利が低かったとしても、毎月の返済額を少なく設定して返済期間が長引いた場合、支払総額が膨れ上がる可能性があります。場合によっては、実際に支払う治療費の倍以上の利息負担が生じることもあるかもしれません。
利息の負担を軽減するためにも、利用前に返済計画を立てるようにしましょう。毎月の返済額、返済期間、完済日などを明確にし、返済の目途を立てておくことが大切です。
デンタルローンの申し込み前には返済シミュレーションしてみよう
デンタルローンに申し込む前には、返済シミュレーションを行うようにしましょう。デンタルローンは高額な治療費の負担を軽減する有効な手段ですが、返済期間中は元金と利息を返済するための十分な収入が必要です。
無理のない返済を行うためにも、返済能力を超えないよう慎重に計画を立てることが重要です。各デンタルローンのWEBサイトには、シミュレーションが掲載されています。借入希望金額や金利、支払い回数やボーナス金額などを入力すると、支払金額の合計や手数料などが試算されます。
事前にシミュレーションを行い、返済計画を立ててからデンタルローンを申し込むようにしましょう。
デンタルローン以外で歯科治療費を支払う方法
デンタルローン以外に歯科治療費を支払う方法として、以下のような手段があります。それぞれ金利や融資までの時間などに違いがあるため、比較してみましょう。
金利 | 融資までの時間 | 利用上限 | 審査 | |
---|---|---|---|---|
一括払い (現金またはクレジットカード) | なし | - | 利用枠による (クレジットカードの場合) | なし (現金またはすでにクレジットカードを持っている場合) |
カードローン | 年1.5~ 18.0% | 最短当日 | 年収の3分の1以下 | あり |
フリーローン (銀行のフリーローンの場合) | 年2.0~ 15.0% | 約2週間 | 700万~1,000万円 | あり |
クレジットカードの 分割払い | 年12.0~ 18.0% | - | - | なし (すでにクレジットカードを 持っている場合) |
現金やクレジットカードでの一括払い
歯科治療費を支払うにあたって、デンタルローンなどのローンを使用せずクレジットカードや現金などで一括払いをするのもひとつの手段です。一括で払った場合は利息がかからないため、 支払いにかかる費用を最も少なくできる方法です。
一括払いのメリットとデメリットは、それぞれ以下のとおりです。
一括払いのメリット
- 審査が不要(現金またはすでにクレジットカードを持っている場合)
※クレジットカード作成には審査があります。 - 利息がかからない
一括払いのデメリット
- 利用枠を超える支払いができない(クレジットカードの場合)
- 一気に現金が減ってしまう
一括払いの場合、手元から一気に現金が減ってしまうので、慎重に検討するようにしましょう。クレジットカードであればまずは歯科医院で一括払いとしておき、あとから分割払いに設定できる場合もあります。
クレジットカードは利用枠を超える支払いができないため、残りの利用枠がいくらあるか確認しておくと安心です。
カードローン
カードローンとは、金融機関が提供する個人向けの融資商品です。コンビニや銀行のATMで現金を引き出したり、インターネットから自分の口座への振り込みを依頼したりしてお金を借ります。
カードローンのメリットとデメリットは、それぞれ以下のとおりです。
カードローンのメリット
- 借入可能額内なら繰り返し借り入れができる
- 担保や保証人なしで契約できる
- 当日の融資に対応するカードローンもある
カードローンのデメリット
- デンタルローンやフリーローンより金利が高い傾向がある
- 繰り返し借り入れができるため返済計画が立てづらい
- デンタルローンやフリーローンより借り入れられる金額が少ない場合がある
カードローンはデンタルローンと違って、借入可能額の範囲内で何回でも借り入れできるのが特徴です。審査は本審査のみ、最短30分ほどで終わるケースもあり、デンタルローンより手続きがスムーズといえるでしょう。
フリーローン
フリーローンとは、おもに銀行が取り扱っている個人ローンです。フリーローンのメリットとデメリットは、それぞれ以下のとおりです。
フリーローンのメリット
- 基本的に担保や保証人なしで契約できる
- デンタルローンより手続きがやや簡易的
フリーローンのデメリット
- 融資までに時間がかかる傾向がある
- デンタルローンより金利が高い傾向がある
フリーローンはデンタルローンより手続きがやや簡易的なのが特徴です。手続きが歯科医院を通じて行える場合もありますので、歯科医院に事前に確認してみると良いでしょう。
クレジットカードの分割払い
すでにクレジットカードを持っているのであれば、クレジットカードで分割払いが利用可能です。所持しているクレジットカードなら、審査も不要で手続きなしで利用できます。
分割払いのメリットとデメリットは、それぞれ以下のとおりです。
分割払いのメリット
- 審査が不要
- デンタルローンより手続きがやや簡易的
分割払いのデメリット
- クレジットカードの利用枠を超える支払いができない
- 最大分割回数が比較的少ない
- デンタルローンやフリーローンより金利が高い傾向がある
クレジットカードの分割払いの金利は、12.0~18.0%とデンタルローンやカードローンよりも高く設定される傾向があります。また、最大分割回数も比較的少なく、治療費の金額によっては月々返済額が高額になってしまう可能性があるため事前にシミュレーションしましょう。
利用枠を超える支払いができないため、残りの利用枠がいくらあるか確認しておくことも大切です。
よくある質問
デンタルローンとは何ですか?
デンタルローンとは、歯科治療費の支払いに目的が限定されたローンです。歯列矯正やインプラント、ホワイトニングなど保険適用外で高額な費用がかかる治療においてデンタルローンを利用すると、複数回に分けて無理なく支払いができ、治療を受けられます。
デンタルローンは、どのような歯科治療に利用できますか?
デンタルローンは以下のような歯科治療に利用できます。
- 歯列矯正
- インプラント
- セラミック
- ホワイトニング など
デンタルローンはいくらまで融資を受けられますか?
デンタルローンの融資を受けられる上限は種類によって異なりますが、500万~800万円ほどであることが一般的です。
歯科治療に必要な金額だけを借りて返済していく仕組みです。
デンタルローンは学生や主婦(主夫)でも利用できますか?
デンタルローンは学生や主婦(主夫)でも、パートやアルバイトで働いていて「安定かつ継続収入がある人」という条件を満たしていれば、申し込みができるものもあります。ただし、条件を満たしているからといって必ずしも審査に通るとは限らないため注意しましょう。