リフォームローンとは:住宅の増改築などの資金調達を目的に利用するローン
リフォームローンは、住宅の増改築や補修などを目的に利用するローンです。リフォームをする場合、工事の内容によっては数百万円かかるケースもあります。一度に数百万円を支払うのが難しい場合にリフォームローンを利用することにより資金を調達できます。
リフォームローンの資金使途の詳細は金融機関によって異なりますが、一般的には以下のような場面で利用が可能です。
リフォームローンの利用例
- 車庫の設置
- 造園
- システムキッチンの購入
- 太陽光発電の購入・設置
- 水回りの工事
- バリアフリー化 など
リフォームローンで借り入れたお金は、基本的に本人または同居する家族が所有する住宅で利用できます。
リフォームローンは無担保・有担保の2種類がある
リフォームローンには無担保ローンと有担保ローンの2種類があります。担保とは、借入金額が返済できなくなった場合の債権者の損失を補うために、債務者などが提供するものです。
無担保ローンは保証人や担保が不要のため、申し込みの手続きがしやすいのがメリットです。一方で、設定できる返済期間は有担保ローンより短いケースがあります。
有担保ローンの場合、リフォームする住宅や土地などを担保にして借り入れを行います。有担保ローンは返済期間を長期に設定しやすく、高額の借入金額を低めの金利で借りられるのが特徴です。一方で、担保の契約書の提出や来店が必要な場合があり、手間がかかるというデメリットがあります。
リフォームローンと住宅ローンの違い
住宅に関するローンには、リフォームローンのほかに住宅ローンがあります。リフォームローンと住宅ローンの違いは、以下のとおりです。
リフォームローン | 住宅ローン | |
---|---|---|
資金利用範囲 | リフォームや改修に関連する費用 |
|
担保 | 無担保と有担保がある | 購入する住宅を担保にすることが一般的 |
借入可能額 | 数百万円程度 | 数千万円程度 |
金利 | 1.7%~5%ほど | 0.5%~2%ほど |
返済期間 | 短期間から選択可能 | 長期間の返済期間(一般的には数十年以上) |
リフォームローンは家の改修のためのローンであり、新たに住居を購入するときの費用には利用できません。
すでに住宅ローンを契約している場合でも、リフォームローンの申し込みが基本的に可能です。住宅ローンを契約している金融機関に申し込むと、金利が優遇される場合もあります。
リフォームローンの金利は高い?低い?
リフォームローンの金利は、金融機関によって異なります。金利とは、借入金額に対する利息の割合です。金利が低いほど、利息の負担が少なくなります。リフォームローンで適用される金利は、1.7%〜5.0%ほどと比較的低いことが多いです。
リフォームローンを利用する前には、金利を確認しておくのがおすすめです。同じ借入金額でも、金利が低いローンを選ぶと支払総額を抑えやすくなります。
リフォームローンは利用目的が明確に決まっている目的別ローンであり、目的が限定されないカードローンやフリーローンなどに比べると金利が低く設定される傾向があります。ただし金利が低い分、利用条件はやや細かく設定されているため、申し込みの際には利用条件を確認するようにしましょう。
リフォームローンの利用条件
リフォームローンは誰でも利用できるわけではなく、金融機関によって利用条件が定められています。リフォームローンの利用条件例には、以下のようなものがあります。
利用条件の例
- 日本国内に居住している方(外国籍の場合は永住許可を受けている方)
- 契約時の年齢が満20歳以上満60歳未満の方
- 年収200万円以上で、安定かつ継続した収入がある方
リフォームローンは、返済を滞りなくするために年収の制限を設けていることもあります。銀行が提供しているリフォームローンの場合、該当の銀行口座を持っていることが条件となっている場合もあります。
リフォームローンの選び方
リフォームローンは、自分にあったものを選ぶことが大切です。ここでは、自分にあったリフォームローンを選ぶときに確認すべきポイントを説明します。

借入可能額で選ぶ
リフォームローンを選ぶ際は、借入可能額を考慮しましょう。リフォームの予定や計画のために必要な資金を借りられるかどうか、事前に確認しておくことが重要です。
リフォームローンの借入可能額は500〜1,000万円ほどが上限に設定されていることが多いですが、実際にいくら借り入れられるかは金融機関によって異なります。
もし申し込んだリフォームローンの借入可能額がリフォーム費用より少なければ、残りは自己資金で対応することになってしまいます。必要な資金を用意できなければ、場合によってはリフォーム内容の見直しが必要になるかもしれません。
「リフォームローンに申し込んでから費用が足りないことに気が付いた」といったことがないよう、リフォームに必要な費用を借り入れできるか事前に確認しましょう。
適用金利が低いものを選ぶ
適用金利が低いものを選ぶのがおすすめです。実際に適用される金利は審査の結果が出るまでわかりませんが、申込先の金融機関のWEBサイトに記載されている金利を参考に「自分の借入金額の場合だと、どれくらいの金利になるのか」を確認しておくとよいでしょう。
また、一般的に金融機関が表示している金利は〇〇%〜〇〇%と幅があります。下限金利が適用されるとは限らないため、最も高い金利を比較しましょう。
続けやすい返済方法を選ぶ
リフォームローンを選ぶ際は、自分が続けやすい返済方法を選ぶようにしましょう。リフォームローンの返済方法には、口座振替、銀行振込、ATM返済などの種類があります。リフォームローンの返済期間は、数年〜数十年となる可能性があります。長期間にわたって返済していくことを想定したうえで、自分にとって負担になりにくい方法を選ぶようにしてください。
用意されている返済方法は、金融機関によって異なります。リフォームローンを申し込む前に返済方法もあわせて確認しておき、自分にあった返済方法を利用できる金融機関を選ぶようにしましょう。
毎月の返済額や返済期間で選ぶ
リフォームローンを選ぶ際は、月々の返済額や返済期間を確認しておくことも重要です。返済期間は、支払総額に大きく影響します。
一般的に月々の返済額を低くすると返済期間が長期になり、結果的に支払総額が高くなります。短期間で返済すれば、月々の返済額は高くなりますが、支払総額は低くなる仕組みです。たとえ金利が低くても、月々の返済額が少なければ支払総額が高くなるため注意してください。
ただし、返済期間を短期間で終わらせようとするあまり、月々の返済額を高く設定しすぎると、家計を圧迫する恐れがあります。
リフォームローンは、自分の返済能力や予算にあった返済額・返済期間に設定できるものから選択するようにしましょう。
リフォームローンの返済シミュレーション
リフォームローンの支払総額や利息は、借入金額や返済期間によって異なります。ここでは、リフォームローンの返済シミュレーションの例を見てみましょう。
例1:キッチンリフォーム
- 借入金額100万円
- 金利年3.0%
返済期間 | 5年 | 10年 |
---|---|---|
支払総額 | 1,078,109円 | 1,158,772円 |
月あたりの返済額 | 17,969円 | 9,657円 |
利息額 | 78,109円 | 158,772円 |
返済期間が5年の場合、10年の場合より月あたりの返済額が高くなっています。一方で、返済期間が10年の場合は5年のときより利息が増え、支払総額が約8万円高くなっています。
例2:水回りのリフォーム
- 借入金額300万円
- 金利年3.0%
返済期間 | 5年 | 10年 |
---|---|---|
支払総額 | 3,234,390円 | 3,476,214円 |
月あたりの返済額 | 53,907円 | 28,969円 |
利息額 | 234,390円 | 476,214円 |
返済期間が5年の場合、10年の場合より月あたりの返済額が約2万円高くなっています。一方で、返済期間が10年の場合は5年のときより利息が増え、支払総額が約24万円高くなっています。
リフォームローンの申し込みから利用までの流れ
リフォームローンの申し込みから利用までの流れは、以下のとおりです。

仮審査に通過したら必要な書類を提出して本審査に進み、本審査に通過したあとは正式な申し込みを行います。数日後に金融機関から申込者の口座に入金され、直後に金融機関が申込者名義で施工会社へ振り込みをする、という流れが一般的です。
金融機関によっては、仮審査がなく、本審査が行われる場合もあります。申し込む前に確認しておきましょう。
リフォームローンの申し込みに必要な書類
リフォームローンの申し込みに必要な書類は、金融機関によって異なります。事前に金融機関のWEBサイトで確認しておきましょう。ここでは、一般的な必要書類の例を説明します。
リフォームローンでは本人確認書類と収入証明書の2点に加え、資金使途を証明できる書類が必要です。それぞれの書類の例には、以下のようなものがあります。
本人確認書類
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 健康保険証
- パスポート
- 住民票
- 在留カード・特別永住者証明書 など
収入証明書
- 源泉徴収票
- 住民税決定通知書
- 確定申告書 など
リフォームローンの資金使途を証明できるもの
- 見積書
- 申込者とリフォーム物件所有者との関係を確認できる資料 など
事前にそれぞれの書類を準備しておくと、申し込みがスムーズに進みます。
リフォームローンの審査は?
リフォームローンの審査は通りやすいのか気になる方がいるかもしれません。リフォームローンの審査基準は公開されていないため、厳しいか甘いかを判断することはできないと考えられます。
リフォームローンよりも借入可能額が高い住宅ローンのほうが審査が厳しいといったことも一概にはいえず、各金融機関によって定められた基準に沿って審査が行われます。
無担保のリフォームローンの場合は担保の審査がないため、担保の審査が行われる住宅ローンと比べて審査が早く済むでしょう。
リフォームローンの審査内容
リフォームローンの審査では、以下の内容が確認されます。
- 属性情報:年齢や勤務先など申込者の情報
- 信用情報:ローンやクレジットカードの取引履歴
- 担保情報:担保とする自宅や自動車などの情報(有担保型リフォームローンの場合)
属性情報:年齢や勤務先など申込者の情報
リフォームローンの審査では、年齢や勤務先など申込者の属性情報を確認されます。属性情報の例は以下のとおりです。
確認される属性情報の例
- 年齢
- 家族構成
- 持ち家か賃貸か
- 勤務形態
- 年収
- 勤務先
- 勤続年数 など
属性情報は、提出した書類を参考に確認されます。本人が正確な情報を提供することで、審査のスムーズな進行や借り入れの決定に役立ちます。
信用情報:ローンやクレジットカードの取引履歴
リフォームローンの審査では、信用情報が確認されます。
信用情報とは
他社での借入金額や過去の借入状況、申込履歴、返済の延滞履歴など、個人の信用力を判断するための情報のこと。
信用情報は、信用情報機関が管理しています。信用情報機関とは、消費者と金融機関の健全な信用取引を支えるために、加盟する金融機関から登録されるクレジットやローンに関する信用情報を扱う機関です。一般的に金融機関は、申込者の返済能力や信用力を判断するために信用情報機関から信用情報を取得しています。
担保情報:担保とする自宅や自動車などの情報(有担保型リフォームローンの場合)
有担保型リフォームローンの場合は、担保情報も審査で確認されます。担保とするものの情報を示すための書類が必要です。
自宅や土地を担保にする場合は謄本(登記事項証明書)、自動車を担保にする場合は車検証などの提出が必要になることがあります。
リフォームローンを利用する場合の注意点
リフォームローンを利用する場合は、以下の点に注意しましょう。

- 利用条件を満たしていても審査に落ちる可能性がある
- 返済シミュレーションをして返済計画を立ててから契約する
利用条件を満たしていても審査に落ちる可能性がある
リフォームローンは、年収や年齢などの条件を満たしていたとしても審査に落ちる可能性があります。
金融機関は、本人の収入や信用情報などを総合的に判断して審査を行います。リフォームローンを借り入れるためには利用条件を満たすだけでなく、返済能力を示すことが重要です。
審査に落ちる可能性の高い方には、以下のような特徴があります。
審査に落ちる可能性が高い方
- 過去にローンの返済を延滞した経験がある
- 短期間で多くのローンに申し込んでいる など
返済シミュレーションをして返済計画を立ててから契約する
リフォームローンを契約する際は、事前に返済シミュレーションを行って返済計画を立てるようにしましょう。
返済期間中は、借入金額を返済するための十分な収入が必要です。返済シミュレーションで借入金額や金利、返済期間などを入力すると、月々の返済額や支払総額を把握できます。事前にシミュレーションをしておくと、自分の経済状況や予算にあわせて返済計画を立てやすくなります。
契約する前に返済計画を十分に検討し、将来的な返済の負担を見極めることが重要です。
リフォームローン以外で必要な資金を借りる方法
もしリフォームローンに落ちた場合は、ほかのローンで必要な資金を借りる方法もあります。ここでは、リフォームローン以外のローンについて説明します。それぞれの特徴は以下のとおりです。
金利 | 融資までの時間 | 利用上限 | 審査 | |
---|---|---|---|---|
リフォームローン | 1.7~5.0% | 1~2週間 | 500万~1,000万円 | あり |
カードローン | 1.5~18.0% | 最短当日 | 年収の3分の1以下 | あり |
フリーローン (銀行のフリーローンの場合) | 2.0~15.0% | 1~2週間 | 700万~1,000万円 | あり |
住宅ローン | 1.0~2.5% | 1カ月 | 1,000万~1億円 | あり |
カードローン
カードローンとは、金融機関が提供する個人向けの融資商品です。カードローンのメリットとデメリットは、それぞれ以下のとおりです。
カードローンのメリット
- お金の使い道が限定されない
- 借入可能額内なら繰り返し借り入れできる
- 担保や保証人なしで契約できる
- 当日の融資に対応するカードローンもある
カードローンのデメリット
- リフォームローンやフリーローンより金利が高い
- リフォームローンやフリーローンより借入可能額が少ない
カードローンは使い道を限定されていないため、リフォーム以外にも利用できます。コンビニや銀行のATMで現金を引き出したり、インターネットから自分の口座への振り込みを依頼したりすることで、借入可能額まで何回でも借り入れられます。
フリーローン
フリーローンとは、おもに銀行が取り扱っており、借入金の使い道が自由な個人向けのローンです。フリーローンのメリットとデメリットは、それぞれ以下のとおりです。
フリーローンのメリット
- 基本的に担保や保証人なしで契約できる
- リフォームローンより手続きがやや簡易的
フリーローンのデメリット
- リフォームローンより金利が高い
フリーローンはカードローンに比べて融資までに時間がかかるケースが見られますが、上限金利が低い傾向があります。ただし、リフォームローンに比べると金利が高い可能性があるため注意しましょう。
住宅ローン
住宅ローンは、住宅の購入や建築費用のために利用できるローンですが、金融機関によってはリフォーム費用として利用できる場合もあります。住宅ローンのメリットとデメリットは、それぞれ以下のとおりです。
住宅ローンのメリット
- 1,000万円超の大規模なリフォームにも対応可能
- リフォームローンより金利が低い
住宅ローンのデメリット
- 審査に時間がかかる
- 審査の手続きが複雑で、準備する書類が多い
住宅ローンは大きな金額を融資することになるため、審査がより慎重に行われる傾向があります。属性情報と信用情報に加えて、返済比率(年収に対するローンの返済額の割合)や担保などの項目も含めて判断されます。対象の金融機関で住宅ローンをすでに契約していることが条件になる場合もあるので、内容を確認しておきましょう。
よくある質問
リフォームローンとは何ですか?
リフォームローンは、住宅の増改築や補修などを目的に利用するローンです。リフォームローンの資金使途の詳細は金融機関によって異なりますが、一般的には以下のような目的で利用可能です。
- 車庫の設置
- 造園
- システムキッチンの購入
- 太陽光発電の購入・設置
- 水回りの工事
- バリアフリー化 など
詳しくは「リフォームローンとは:住宅の増改築などの資金調達を目的で利用するローン」の項目で紹介しています。
リフォームローンの金利はどれくらいですか?
リフォームローンの金利は金融機関によって異なりますが、1.7%〜5.0%ほどであることが多いです。リフォームローンは利用目的が明確に決まっている目的別ローンであり、目的が限定されないカードローンやフリーローンなどに比べると金利が低く設定される傾向があります。
詳しくは「リフォームローンの金利は高い?低い?」で解説しています。
リフォームローンの審査は住宅ローンに比べてどうですか?
リフォームローンの審査基準は公開されていないため、厳しさを判断することができません。
無担保のリフォームローンの場合は担保の審査がないため、担保の審査が行われる住宅ローンと比べて審査が早く済むでしょう。
「リフォームローンの審査は?」の項目もあわせてご覧ください。
リフォームローンの申し込みに必要な書類を教えてください。
一般的にリフォームローンの申し込みに必要な書類は、おもに以下の3種類あります。
本人確認書類
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 健康保険証
- パスポート
- 住民票
- 在留カード・特別永住者証明書 など
収入証明書
- 源泉徴収票
- 住民税決定通知書
- 確定申告書 など
リフォームローンの資金使途を証明できるもの
- 見積書
- 申込者とリフォーム物件所有者との関係を確認できる資料 など
必要書類は金融機関によって異なるため、申込先の金融機関のWEBサイトなどで確認してみてください。
詳しくは「リフォームローンの申し込みに必要な書類」もあわせてご覧ください。